01 チャム族の家(Cham House)  
     
  チャム族はオーストロネシア語系に属し、人口約16万(2009年)、母系制で、主にニントゥアン省とビントゥアン省のほか、アンザン省、ドンナイ省、タイニン省、ホーチミン市などに居住している。チャム族は192年にチャンパ王国を設立し、ベトナムの中部海岸平野に長く居住していたが、15世紀にベト族によって大幅に領土を縮小され、19世紀に滅亡した。ベトナムで唯一、イスラム教の信仰をもつ民族である。  
     
  オリジナルに忠実に再現されたこのチャム族の家は、5つの主要な建物から構成されている。  
     
     
  正面にあるのが、「サンラム」と呼ばれる母屋で屋根が2層になっている。下の層は藁を混ぜた泥で、暑さをしのぐ効果がある。  
     
     
     
     
  母屋の右側にはほぼ母屋とつながった「サンエ」と呼ばれる、さまざまな伝統的な儀式が行われる建物がある。この場所は豊穣と成長を意味すると考えられているので、家の敷地の中で母屋の北東方向にある。チャム族の家系の大家族のすべての儀式がここで行われる。ここは垂木構造、ほぞ穴と継手で、釘が使用されていない唯一の建物になっている。  
     
     
     
  母屋の南東にあるのが「サンマヨウ」と呼ばれる離れで、女系家族なので娘達が婿を取り相続していくが、姉妹のうち二人目の姉妹が結婚しようとしているときに、最初に婿を取った姉妹の夫婦が泊まる家である。  
     
敷地の南西には「サントン」と呼ばれる上の間の建物がある。このチャム族の家は地域でも上層階級に属する家族の家であるが、この上の間はさらに地位の高い長老などを招いた際に使われた。  
     
     
  敷地の北西、母屋の西側にあるのが「サンギン」と呼ばれる台所である。